歳森勲 日常を巡る16の物語  
1998


これはもともと16枚のパネルで構成されていて、鑑賞者は本を読むように想像の中で 迷宮を彷徨っていくという作品です。当時、私は東京を彷徨っている気分で、いろいろな写真を撮り、そこから受ける印象を書き綴っていました。銀座地下通路新橋通 勤風景、新宿歌舞伎町、新宿高層ビル、どこかのコンビニやゲームセンター、臨海工 業地帯、青山トンネル、四谷の商店街、田町品川下水場屋上公園…。現実と非現実を 混合し、記憶との境界も不明瞭なまま、あてどなく彷徨う迷宮、それが東京。この旅 は現実を否定することから始まり、現実をありのままに再認識することで終わりました。