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▼なぜ英語、というのは非常に簡単で、何かを自分がつくって売ろうとした時に、文学なんか一番きついんですけど、日本語で書いてしまうと日本でしか売れないでしょ、ところが英語で書くと世界中に売れるわけですよ。一売れるか百売れるかどっちが幸せか言うたらそりゃ百の方が幸せですって、誰だって言うから。とりあえず英会話じゃないんですね。英会話なんて文章覚えたらいくらでもしゃべれるようになります、英作文ですね、自分の考えを英語で言う、自分はこう思っているんだ『I THINK』、『I』で始まってすぐ動詞を言っちゃうS.V.の習慣をガキの頃から徹底してつけていく、俺は何がしたい、俺はこれがしたい、というような提案型ですね。提案型の人間をどんどん変えていく必要があるんですよ。インターネットでも検索でもできるし、今の生徒達にやらしてるのは、どこでもいいからいろんなぺージで気に入ったのがあったら定型文の手紙をつくらせてるんですよ、「お前のページはエキサイティングだ。私は日本の女子高生だけどもあなたのファンになっちゃった!」って言うような凄く簡単な手紙を英語でつくらせて、それをすぐ添付して送れ、何通か返ってくるんですよ。そこから真剣に英文をつくり向こうとコミュニケーションをやってるんです。さっき高校の先生が「リースでソフト入れられないんです」って言うのと同じように彼女らも「できない、やれない」って言うんです。「そうじゃないだろ、もう整ってるじゃないか。君はこんな簡単なことでコミュニケーションできる」って「だって、友達がいないから」って「どうして探さないんだ」ほとんどそうですね。東京芸大だろうが、武蔵美だろうが、多摩美だろうがなんでもかまわない。それと海外も、ロンドンのロイヤルアカデミーも、みんなネットの中では並列なんですね。その並列な関係において、自分には何がベストなのか、私はこれからどう生きてどこへ行くべきなのかを自ら考える。自ら考えるために、たくさんのネットワークの中での経験を積み上げていく、そういう子供に小学生の時からしていかなくてはならない。アグレッシブな子にね。その時に美大うんぬんよりも最大の弊害は、中学校。中学の教育がそれをさせない。徹底した管理主義で、少ない先生でたくさんの授業を持たなくてはいけない、先生もかわいそうなんですけど。だから文部省が中学教育での待遇改善、それをやっていかないと非常に日本というのは、ロスが多いシステムをつくっていますからね。

▽六・三・三制にも問題があるという…。

▼ありますね。重大な問題がありますし、中高一貫にしてしまうほうがいいですし。一度小学校の段階でなにかしらゆっくりとした時間を与えてやったほうがいいですし。スポーツするにしても哲学するにしても何かにつけていいですね。大学は、今度は大学入試が問題になるんですけど、大学入試は個人のプレゼンテーション能力とか、何がしたいんだという創発性でとるべきですね。アメリカの大学でもそうなんですけど、ある長期の期間で、ペーパーテストだけでなく対話の中で夢とか希望とか実現したいことを相手にプレゼンテーションする。自らポンポン企画を、アイデアを出させる。そういう訓練をさせて、それによって選んであげてね。そういう部分を取り入れていかないと、レポート技術だけではなくてね。プラス自分が何をしたいかどういうものがしたいんだろうっていう思考力の問題。それを組み替えて行く必要があると思う。

でも、今の若い世代に言いたいのは、日本というのは全世界のある一部でしかない。どこで仕事をするのかは自分で選びなさい。イスラエルのレジデンシー行ってもいいわけですよ、コンピュータなんか今イスラエルが一番面白いからイスラエルとか行った方がいいじゃないかとか。世界は今そんなに人種差別じゃないですから。アートでもそうだけど、なにか面白いことをしたら、世界中のアーチストって友達だから、思ってるほど閉鎖的でもないし、要は周りのせいにしない、親がどうだとか政府がどうだとか、できないとか、美術館がどうのこうの言ってる暇があったら自分でどんどん動く、ウェブサイトを検索して、好きなところに作品を送るでもいいし、自分のウェブサイトをつくるでもいいし、開かれて行った方がはやいんじゃないかな。

▽マルチメディアを使用した新しい教育のあり方についてどのように思いますか?

▼やっぱり電子メールでしょう。ますます文章能力の高い人間が評価されていく。一番大事なのは、レスポンスが早い。筆まめであるということ、逆にいうと古い能力なんですね。自分のやりたいことを短い文章できちっと相手に伝える。それから誠意とかもありますけど。それとメーリング・リスト。僕らはプロジェクト単位でメーリング・リストっていうのを立ち上げるんですよ。今度の仕事でもそうだけど、そこにはいろいろな分野の専門家がいます。物理の人、科学の人、必ずいろんなそれぞれの専門分野の人達を集めてユニットをつくるんです。そこで意見交換して、そうすると、今まで三ヶ月かかっていたものが一週間でできあがるんですよ。だから、学校にいながらもお昼休み中に東京と打ち合わせ全部終わるわけですよ。これは、ネットワークとデジタルの環境がもたらした最大の恩恵で、この福音がなかったら、僕はこんな作業できてないですよね。

 

 

 
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